この無限に広い宇宙の中には、地球と同じような生物の住んでいる星が 無数に存在する可能性があると言われています。 私どもはたまたま、このすばらしい地球上に人間として生まれて来たわけです。 地球上には細菌や細胞まで含めると無数の生物が生かされていますが、 その中で最も進化のすすんだ万物の霊長たる人間に生まれるということが 如何にすばらしいことであるか、考えれば考えるほど不思議に思えてなりません。 これを言葉で表現するとすれば奇跡中の奇跡と言う外はないと思います。 今まで、こんなことはあまり考えたことはありませんが、 今回の「感謝探し」によって初めてそのことに気付いて、我ながら身の幸せに感動しているところです。 人間の幸せの中でこれに勝るものはないと今は思っています。 生まれて来てからの幸、不幸は人間に生まれたというこの根源的な幸せに比べたら、 小さなもののように思われてきます。 この思想というか認識は、現在の私の精神的生活の根幹をなしております。 神経症や鬱で悩んでいる時は、そこまで気が回らないものですが、 これはまぎれもない事実ですから、是非気付いてほしいと思います。 　人間の命は長くて１００年位のものです。 地球の寿命にくらべると、ほんの一瞬の出来事ですが、それだけに尊く、 少しでも宇宙の歴史に参加できたことを自覚し、 人間として今まで生かされたことのすばらしさに感謝したいと思います。 この根源的な幸せは誰にでも共通しているものではないでしょうか。 世の中を騒がしている幸、不幸に関する話題は尽きませんが、 ほとんど今申した根源的な幸せを無視したものになっているのは残念なことです。 人間は妙なもので、もう幸せなんか何一つなくなったと思う時でも、 この人間に生まれたという幸せだけは残りますから、それが救いとなって、 立ち直りを早める元になります。 心の奥にこういった事実認識を持っておくことは重要なことだと思います。 日常は忙しさのために忘れていますが、独り静かにもの思うとき、 その事実に思いをいたせば、自分が大きな自然の力によって生かされていることを感ぜざるを得ません。 これも「事実をあるがままに認める」という森田理論の教えのもたらすものだと思っています。 たとえ、この世で大した成功がなかったとしても、このすばらしい地球上の日本という国に 人間として生まれ、今まで生かされて来たことだけで十分に感謝する価値があると思います。 私どもが心の中で、そういった根源的な幸せ感を持っておれば大抵のことは譲れるようになるものです。 　そこで、１日に１回でよいので「他力の恩恵」に感謝する時間を持つように 習慣付けることをおすすめします。 私は毎食事の前に合掌して、その時間を持っています。 また時間があればいつでも「感謝探し」をするように意識的に努力しています。 そうしておれば自然にそれが習慣になってくるようです。 私の経験によれば、そういった感謝の世界には、神経症も鬱も存在する余地がないように思われます。