命の根源は太陽にあります。地球上のすべての生物は太陽のエネルギーによって生かされています。 人間もその中の一つです。 でも人間は進化が最も進んだ動物として地球上をある意味で支配しています。 そして大きな社会を形成して、基本的にお互いが助け合って生きているすばらしい動物です。 人間の身体の細胞は６０兆個もあって、それが皆、それぞれ自律的に働いてくれているおかげで 身体が維持されていると言われています。 自分の意志で動かすことの出来る部分は限られています。 それ以外は自然の働きによって活動してくれているおかげで生きているわけですから 「生きている」と言うより「生かされている」と言った方がぴったりします。 　先ほども申しましたが、この世は分業の社会です。 ですから自分は何か一つ世の中のために役立つ仕事をしていれば、 生活に必要なものはすべて他の人が作ってくれて、生きて行くのにほぼ不便のないようになっています。 勿論、対価は払わなければなりませんが、それらを自分一人で全部調達するのに比べたら、 はるかに安い価格で入手できるわけです。 そんなわけで、人間はどんな人でも、どっか、こっかで繋がりを持っていて、 互いに助け合う関係にあるものだと思います。 まさに、お蔭様で生きているわけです。 特に対人恐怖の人は、人に対して対立的になりやすいので、 そういう関係にあることを常に意識して人に接するようにおすすめします。 私もかつて人に対して常に対立的で、自己防衛的な態度で接してきました。 それが人間関係を悪くする原因でもあったわけですが、先ほどから申しましたように、 人はお互いに助け合う関係にあるものであることを自覚してから、対立感から解放されて楽になりました。 私は永い間、床屋に行くのがとても嫌でした。 床屋さんと１：１になったとき話題のなくなるのを気にして悩んだものです。 それが、床屋さんは私の伸びた髪を整髪してくれるためにプロになって待っていてくれている、 という事実に気付いてから、床屋さんに感謝するようになり、永年の悩みが氷解した経験があります。 一事が万事、そういうことで事実本位に感謝が先立つようになって、 私の生き方は１８０度変わって前向きになり、積極的に社会参加するようになりました。 そんなことで、鬱でもやもやしていた閉じこもりがちな状態は、感謝の気持ちで吹っ飛んでしまいました。 その感謝の気持ちは、すべて事実に基づいたものであり、決して気分本位なものではありません。 今の私の生活は、その感謝がベースになっていますが、 具体的には常に受け続けている天然自然の恩恵、社会の恩恵、お世話になった多くの人達の恩恵、 家族の恩恵などに基づくものです。 それらの事実をありのままに認める時に得られるものです。 このような感謝の気持ちは、客観的事実に基づく反応で起きてくるものですから、 「感謝探し」は注意の外向化がすすみ、閉じこもりがちな鬱の解決に役立つように思います。 もちろん、神経症の「とらわれ」からの解放にも役立つことは間違いのないことです。 そんなことで私は、今でも暇さえあれば自分の周りに目を向けて「感謝探し」をしています。 そして最近はそのことを楽しみにしています。 こんな話が今神経症や鬱のどん底に苦しんでいる人に対して通用するかどうか分かりませんが、 慢性的な神経症や鬱で困っている人には理解してもらえるのではないかと思います。 　私の考え方、生き方は「事実本位」を基本にしながら、少し解釈の仕方を変えたものになっています。 私どもはお互いに、自分の生き方は自分で決めるものだと思います。 皆様方もご自分の生き方を、いろんなことを参考にしながら （森田理論もその中の一つですが） ご自分でつくり出して行ってほしいと思います。 それは必ず自分独自なものになるはずです。 その場合に大切なことは、それが事実に基づいたものになっていることです。 それが守られていれば必ず森田理論に通じてくるはずです。 　以上が私の神経症と鬱に関する体験と人生観と生き方です。 独断と偏見と未熟なところが多々あるためにご批判も多いと思いますが、 少しでも参考になるところがあれば幸いです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（完）