私はかねてより、内面的には「無条件に生きる」のが好ましいと考えている。 それは内容的には「あるがままに生きる」ことと同じであり、 「事実本位に生きる」こととも同じであると思うが、「あるがまま」については先に小文を書いたので、 今回は少し視点を変えて「無条件に生きる」ということについて述べてみたい。 　私は、人は基本的に「内面的には無条件に生きながら、外面的には条件をつけて生きる」のが いいと考えており、そういう意味で「無条件に生きる」とは、良くても悪くても その時の内面的な事実に文句なく従って生きることであり、 それを要約すれば「自然のなりゆきに任せきって生きる」ことであると言ってもいい。 　良い場合に従うのは容易であるが、悪い場合に従うのは難しい。 しかし、それができるようにならなければ「無条件に生きる」ことはできないので、 そのためには最終的に生死をも問わないところが出てきて、 いつもそうだとは言わないが一度はそこをクリアしておかないとできない生き方だと思っている。 　あまり難しく考えないで、こういう生き方を一般に「捨て身の態度で生きる」とか 「開き直って生きる」とかいうが、それができるようになれば「無条件に生きる」ことが可能になる。 神経質症で苦しんでいる人（自己に執着している人）はそれがなかなかできなくて 困っているわけであるが、今回はそのような人がどうしたら無条件に生きられるようになるのか、 という点について主として理知とのかかわり方の問題を中心にして少し私見を述べてみたいと思う。 もちろん、できるだけ自分の体験的事実や客観的事実に基づいたものにするようつとめはしたが、 私見や表現の仕方についてはすべて私の独断によるものである。 また、これまで書いた小文と重複しているところもあるので、その点はご容赦たまわりたい。